実家に帰ると必ず墓参りに行かされる。
俺自身は神とか霊魂とかはまったく信じてない無神論者。
でもなんで毎回墓参りに行くのかというと宗教なんてものは死んだものを慰めるためにあるわけじゃなく、残された生きてるものを慰めるためにあるものだと思っているから。
ちゃんと墓参りすることによって親父も母親も
「私たちが死んだあとも息子はちゃんと墓参りに来てくれる」と安心して死ぬことができる。
俺の墓参りは近所へのたてまえや親を安心させるための行為。
でも亡くなった人を敬う気持ちもちゃんとある。
ただ祈っても亡くなった人はそこで無であると信じているので
祈りは伝わらないものだと思っている。
俺は実家で目の前の祖母の遺影に手を合わせているけど
隣で一緒に手を合わせている父親へ線香をたてている。